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加齢に克つ!サビない体のつくりかた |米井 嘉一

加齢に克つ!サビない体のつくりかた加齢に克つ!サビない体のつくりかた
米井 嘉一
草思社 刊
発売日 2007-10-25


“サビ止め”? 対策の勧め  じゃじゃ馬娘:ミトコンドリアと上手くお付き合いする方法!   2008-02-19

 トレードオフとは”何かを採用する代わりに、何かを犠牲にすること”、即ち、”得たものも大きかったが、失ったものも決して小さくなかった”と言う概念である。生命進化史上、人類史上の“究極のトレードオフ”は二つ(独断と偏見による全くの私見であるが)。まず、その第一は、“1万年前の取引”である。これに関しては、脚注を参照。その第二は、16億年前の太古の昔、我々のご先祖の原始的生命体(アーケア)が、その体内にミトコンドリア(の先祖にあたる原核生物:プロテオバクテリア)を取り込んだ事件(収奪的共生、融合、あるいはキメラ生命体誕生)とその後である。本書はこの第二の“究極のトレードオフ”(こちらを、私は”16億年前の大事件”と呼んでいる)についてのお話である。この”16億年前の大事件”により、我々のご先祖には複雑で大型の生命体(多細胞生物、真核生物)へ進化する道が拓けたのである。その代わり、進化上の”ある宿命”を負うことになった。それが活性酸素・フリーラジカルの発生とそれによる酸化(サビの発生)である。将に”トレードオフ”である。


 


 ミトコンドリアはいわば、細胞内の超々小型スーパー高性能高効率発電所である。酸素という超危険物を扱うエネルギー・プラントなのである。細胞の生命活動に必要なエネルギー(ATP)の供給源であり、絶対に無くてはならない細胞内小器官なのだ。その一方で、活性酸素等のフリーラジカルを大量に発生させる、困った面も持ち合わせている。機嫌が悪いと、辺り構わず危険なフリーラジカルを撒き散らす、とんだ“じゃじゃ馬娘”なのだ(笑)。この大量発生したフリーラジカルは、身体の彼方此方をサビつかせてしまうのだ(酸化)。身体がサビればサビる程、細胞死を招き、老化は加速し、いろいろな病気(癌・悪性腫瘍、アルツハイマーなどの変性疾患、動脈硬化などの生活習慣病、など)が起こって来るのだと筆者は言う。従って、長生きしたければ、”サビ止め”能力、即ち、抗酸化能力を含めた"ミトコンドリアの高効率化"(efficient mitochondria)を進めることが必要になってくる。その方法、即ち、”ミトコンドリア嬢との正しい付き合い方”を伝授してくれるのが本書である(笑)。”鶴は千年”という位で、実際、鳥類のミトコンドリアは哺乳類のそれより遙かに効率がよく、フリーラジカルの発生も少ない。我々ヒトも、そのレベルを目指しましょうよ、という勧めである。


 


 “サビ止め”対策の三本柱は、やっぱり“精神”と“運動”と“食事”であるとの事。運動以上に“精神”(ストレス・コントロール)を重要視している点が大いに評価できる。良質かつ十分な休養と睡眠(一方、質の悪い睡眠、例えばメタボの人に多い睡眠時無呼吸は虚血再灌流障害を招き、極めて危険)、音楽療法、アロマテラピー、生き甲斐療法(全くストレス無しも駄目なのだ)、温泉入浴療法、等々が良い“サビ止め” 対策になるのだそうだ。運動に関しては“ニコニコ程度の運動“を勧めておられる。急激、過激な”ニコニコ出来ない(笑)”運動は、かえって過剰な酸化ストレスを発生(これも虚血再灌流障害である)させ、余計なサビを生むだけだと明言されておられるのだ。誠に素晴らしい仰せである。実際、”アスリートは老化が早い。” とも、先生は仰る。確かに、有名アスリートで百寿者は聞かない。鍛えに鍛えている訳だから、そういう方はもっと長寿でもよさそうだが、実際はそうならない。長生きにはやっぱり、”適度な”ストレスと運動、なのだ。この二つは、過剰でも、皆無でも、どっちも駄目なのだ(ミト・ホルメーシス効果)。こんな事を言ってると、体協にやられそうだが(笑)。ただ、過酷過激なマラソンやトライアスロンを完走していながら、ニコニコしているスーパーマンみたいな方は一体どうなのか、一度先生に聞いてみたいものだ(笑)。



 但し、最後の“食事”の章だけは、残念ながら賛同できない箇所が幾つも見受けられる。特に、”脳細胞の唯一のエネルギー源はブドウ糖”としているのは明かに間違いである。先生のような日本のトップレベルの研究者、医療者までもが、未だにこんな”迷信”(私は、”グルコース信仰”と呼んでいる)を信じているのは、誠に残念至極。現代人が糖質を過剰に食べ過ぎている為、そう見えているに過ぎないのである。炭水化物を存分に摂れる、と言うのは人類誕生以来400万年間、殆んど見られなかった”ほんの一瞬”(:最も長く見積もっても、1万年/400万年=0.25%の期間に過ぎない。実際的は、ここ100年位の事なので 0.0025%になる。)の異常事態なのだ。人類は誕生以来99.75%?99.9975%の期間、飢餓が常態であった。腹ペコが極、当たり前の事であった。この長い長い間、脳細胞の主要なエネルギー源はずっとケトン体だったのである。それが極々、普通の事なのである。現在、”ケトージス”などと病気扱いする藪医者がいるのは、誠に情けない事である。筋肉などのGLUT4臓器より、脳(GLUT1臓器)がブドウ糖を優先的に利用できると言うのは確かに事実である。しかし、脳は何もブドウ糖だけでなく、それが乏しくなれば、ケトン体であろうが、アルファ・アミノ窒素であろうが、利用できるし、また、利用出来なければならないのだ。でなければ、人類はとっくの昔に絶滅していた筈である。脳はそれほど大事な中枢、参謀本部と言う事なのだ。”大本営”がワン・パターン(=グルコースだけしか燃やせない)では駄目なのだ。とてもトップは務まらないのだ(笑)。



 それでは、血糖は一体何の為に存在しているのか?それは一義的にはクエン酸回路、即ちミトコンドリアを持たない細胞の為である。そんな細胞があるのか? あるのだ。そう、赤形球(GLUT1臓器)である。赤形球は嫌気性解糖系しかエネルギーを得る術を持たない。従って、100%グルコース依存である。だからと言って、”炭水化物を必ず外から摂らなければならない”とは、決してならないのである。それは何故か?赤形球を養う程度のグルコースは”糖新生”で充分賄えるからだ。脳にとっても、赤形球にとっても、炭水化物を外から摂取する必然性は無いのである。元々、体内で完結する話なのだ。(但し、糖新生機能が未だ充分でない新生児乳児は例外。母乳に乳糖が含まれているのはその為。)従って、炭水化物を三大栄養素の一つとするのは全く誤りなのだ。脂質と蛋白質の”二大栄養素”が正解。必須脂肪酸と必須アミノ酸はあるが、”必須糖質”は存在しない事もその証拠である。別に体外から摂る必要のないのが、糖質である。”必要のない”位ならまだ良いが、悪さばかりするのが、このグルコースなのだ。極悪人(炎症惹起物質であり酸化ストレス誘発物質、活性酸素誘導物質かつ、細胞内代謝環境撹乱物質そのもの。現代人にとっては糖質は殆んど毒。)を、事もあろうに、”英雄、救世主、正義の味方”と奉っているのが、この”グルコース信仰”である。これこそ、人々に不幸=糖害病(癌・悪性腫瘍、アルツハイマーなどの変性疾患、糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病、アトピーなどのアレルギー疾患、リューマチなどの自己免疫疾患などなど)をもたらす元凶と捉えねばならないのだ。この邪悪な信仰からの覚醒が早ければ早い程、救われるのである。8ヶ月前(2007年7月SirtuinDiet開始)の私自身である。7年前(2001年)の江部先生(現在のケプラー)、9年前(1999年)の釜池先生(現在のガリレオ)、そして24年前(1984年)の荒木先生(先覚者、現在のコペルニクス)である。因みに、伊藤裕教授(現慶大)を私は”現在のニュートン”と呼んでいる。(失礼!)


 


 そんな訳で星は残念ながら4つ。現在の人類は過剰に発生した活性酸素(フリーラジカル)の消去(スカベンジ)に四苦八苦し、”じゃじゃ馬馴らし”に本当に難儀しているのである(笑)。若返り、美容美肌、健康長寿に関心のある方、LOHAS、LOLAS系の方々にお勧め出来る一冊である。もう一つの究極のトレードオフ:“1万年前の取引”関連の著作(荒木先生、釜池先生、江部先生のご本がこれに当たる)と一緒に読まれると、サビ止め対策と、糖害止め対策の二つとも万全(この状態を私はLOLASと呼び、実践中。LOLASは自分への最高の投資で、かつ、最大の安全保障である。)で、あなたの健康長寿(Longevity)はもう約束されたも同然 かも??(笑)。



(注)1万年前の取引:誕生以来400万年間、狩猟採取民として常に飢えていた人類が、1万年前、農耕を始めた事で、より多くの人口を養う基盤が固まった。社会は大型化、複雑化、分業化し、各地に文明が芽生え、地球上の盟主への大出世の原動力となった。しかし、これと引き替えに(だから、取引、トレードオフなのだ)、人類は糖質(穀物)という大きなリスク(万病の元で老化の元)を背負い込んだ。現在、地球上で何億、何十億という人が、いわゆる糖害病、穀物病に苦しんでいるのだ。この事実を私は、”1万年前の取引”呼ぶ。これは丁度、16億年前、我々のご先祖の原始的生命体が、その体内にミトコンドリアを取り込んだ事により、大型で複雑な生命体(多細胞生物)へ進化する道が拓けた代わりに、活性酸素の発生とそれによる酸化(サビの発生、これも万病の元で老化の元)という進化上の”宿命”を負うことになった、いわゆる”16億年前の大事件”と実によく似ているのだ。従って、この二つを、私は“究極の2大トレードオフ”と呼ぶ。取引であるから今更、反故には出来ない。農耕を止めると言うことは、何十億人もが餓死すると言うこと。取引だった事に気付いた以上、いかに折り合いを付けるかが今後大問題になるのだが、どうするにしても、社会システムの大変更を伴わざるを得ないのである。また、ミトコンドリアと上手に付き合う方法を学ぶことも大切である。究極の2大トレードオフを常に意識したライフスタイルを、LOLASとして提唱させて頂いている。


   ホルメーシス効果:高用量で有害影響を持つ化学物質(放射線、酸化ストレス等)は低用量では有益な影響を持つことができるという概念。例えば、低用量において、ホルモンの放出の引き金、遺伝子発現のオンオフ、細胞成長の刺激など様々な影響を持つことがあり得る。高用量の暴露を受けた時にダメージを受けないよう、低用量時にある種の防御メカニズムを刺激するもので概念的にはワクチンに似ているとも言える。ミトコンドリアにおいて、少し酸化ストレスがある方が機能亢進を得られる事をミト・ホルメーシス効果と呼ぶ。従って、過剰な抗酸化物質の摂取で活性酸素を消去し過ぎるのも逆効果になる。過剰でも皆無でも駄目なのだ。


   GLUT:glucose transporterの略。グルコース輸送担体の事で、グルコースを細胞内に取り込む働きがある。13種類知られているが、1と4が有名。GLUT1は常に働いているが、GLUT4はインスリンの追加分泌があった時のみ働く。


   糖新生:肝臓(極一部は腎臓で)で糖以外の物質からグルコースを合成する事。アミノ酸を糖に変える経路(糖原性アミノ酸:アラニン,アスパラギン酸など)と中性脂肪(グリセロール)を糖に変える場合とがある。乳酸もアラニン経由で利用される。  


   SirtuinDiet(サーチュインダイエット):私が8ヶ月前(2007.07.)から実践中の”規則正しくない”食事法。かまいけ式の亜型。糖質ゼロ、1日一食夕食のみ、更に、プチ断食(48h)や本断食(72h)を時々絡ませる、食べたら速やかに睡る、長寿遺伝子Sirtuin活性化物質であるレスベラトロールを含む赤ワインやベリー類を積極的に摂る、等々がその柱。Sirtuins(=ミトコンドリアを高効率化する)の刺激を目指したCR食事法の一つで、食べる時は、腹一杯食べて、ガンガン飲むのがコツ。自分で言うのも変だが、まるで別人の様な体型になった。空腹感は全く無いので、リバウンドの可能性もゼロ。一回の食事で量をこなせない人にはお奨め出来ない。野生動物(特に肉食の。肥満は皆無)は、食べれる時は腹一杯食べ、すぐ寝る、全く食べられない日も都度つどある。これをマネていると理解すれば解りやすい。更に、運動法やストレス・コントロール法、サプリ摂取、薬剤予防内服まで含め、包括的に健康長寿(サクセスフル・エイジングやプロダクティブ・エイジング)を目指したライフスタイルを、”LOLAS”(ローラス)として提唱させて戴いている。"ミトコンドリアの高効率化"(efficient mitochondria)を目指した実践法の一つである。


   Sir:Silent Information Regulatorの略 。21世紀の大発見で、ノーベル医学賞の有力候補。Silent Informationというのは眠っている遺伝子情報という意味。眠っている遺伝子を発現させたり、逆に黙らせたり、上流よりいろいろ制御する遺伝子群と、それより作られる酵素タンパク質の事で、実態はNAD 依存型脱アセチル化酵素であると解った。


   Sirtuins:米国MITのガレンテ教授の発見した長寿遺伝子Sir2 のHomologues Family。 CRで活性化してくる。Sirtuin Familyは酵母のような原始的な生命体から、万物の霊長たる我々H・サピエンスまで見事なまでに保存されている。


   CR:Caloric Restrictionの略と言われている。通常エネルギー摂取量の60%にカロリー制限するとSirtuinsが活性化してくる。従って”腹六分”がいいのだ。しかし、タンパク質と脂質の制限は奨められない。この二つは身体の大切な構成成分であり、また、体内で合成できない必須成分(必須アミノ酸と必須脂肪酸)も多く、栄養失調のリスクがあるからである。炭水化物の制限、即ち、Carbohydrate RestrictionのCRの方 が、Sirtuinsを活性化する安全かつ確実な方法と私は考えている。これからは、CRと言えばCarbohydrate Restriction(炭水化物制限)の事と理解して頂きたい。炭水化物はカロリー・エネルギー源・燃料としての意味しかなく、また食事でわざわざ外から摂らなくても、体内で幾らでも合成できるからである(糖新生)。”必須糖質”なるものは、ヒトには存在しないのだ。もっと言えば、炭水化物を体外から摂取するのは余りにリスクが大き過ぎる事を示す知見や証拠が、最近、次々と明らかになりつつある。


   LOHAS:Lifestyles Of Health And Sustainability


   LOLAS(ローラス):Lifestyles Of Longevity And Sirtuins


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加齢に克つ!サビない体のつくりかた を読んでみた。う~むと納得しきりである。

なんといっても、著者米井 嘉一の意欲が読み取れるから、ついつい読んでいってしまう。

ぐいぐい加齢に克つ!サビない体のつくりかた に引っ張られているという感じか?加齢に克つ!サビない体のつくりかた に類する本は、あんまり多く読んだことがないから比較はできないけれど、これらに類する本の中ではかなり高評価を得るんじゃなだろうか?

やっぱり著者が意欲を持って書くと、いいものが出来上がる。

そんな気がする本である。

ともかく一読あれ。

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